以前の動画で、ナスダック100の出口戦略をご紹介しました。
その動画では、ナスダック100の定率1%取り崩しと、現金を組み合わせる出口戦略をご紹介しました。
視聴者様から、現金ではなく、高配当株を使った出口戦略も見てみたいというお声を頂きましたので、今回の動画では、ナスダック100と高配当株を組み合わせた出口戦略について解説していきたいと思います。
今回は新NISA枠の枠組みで考えていきます。
つみたて投資枠はナスダック100に連動する投資信託で埋めます。
上限は600万円ですね。
そして成長投資枠の上限枠である1200万円を高配当の個別株ではなく、ETFで埋めていきます。
日本でも米国でも高配当の個別株はあるんですが、ここは今年から投資を始めた方にも分かりやすいように、優良企業の詰め合わせパックであるETFを使っていきますね。
新NISAの税金
新NISAを利用して配当金生活を目指す際、配当金に関する税金の取り扱いについては、このように理解しておく必要があります。
新NISAの成長投資枠で日本株や日本株のETFを購入した場合、国内での配当金に関しては非課税となります。
これは、新NISA口座内での取引であれば、利益が非課税であるという新NISAの基本原則に基づきます。
例えば配当金が10万円だった場合、手取りもそのまま10万円ということになりますよね。
しかし、米国株やETFの配当金に関しては、10%の税金が源泉徴収され、手取り額は9万円ということになってきます。
これは、日米の租税条約に基づくもので、NISA口座であっても免除されないんですよね。
したがって、米国株や米国ETFを通じて配当金を得る場合、実際に手元に入る配当金は、米国で既に10%の税が引かれた後の金額となります。
新NISAができたことで非課税枠が拡大したことはいいんですが、ちょっと思うところがあるんですよね。
われわれ個人投資家は、投資をしていない人にはない『資産が減るかもしれない』というリスクをとっているわけじゃないですか?
そのリターンを受け入れているからこそ、その恩恵としてリターンを得ているわけです。
なのになぜ、そこから税金をとるのか?
新NISA枠外の特定口座では利益分から約20%も税金がとられるんですよね。
なんだか納得いかないんですよねホント。
すいません。愚痴っぽくなって。話を本題に戻します。
じゃあ、日本株と米国株の高配当ETF、どちらを買っていく方がいいのか?ということなんですが、税金のことだけを考えれば、日本株が良さそうですが、今回のシミュレーションでは米国株の高配当ETFで大人気のVYMを使っていきたいと思います。
理由としては日本にも1489などの高配当株ETFはあることはあるんですけど、歴史がまだ浅いという点と、実績と総資産額で圧倒的な差があるという点で、VYMを活用していきます。
また当チャンネルも米国株中心の内容ということもあります。
こちらは楽天証券さんの米国ETF売買代金ランキングですが、VYMは全体で第14位で、高配当株ETFでは人気No.1なんですよね。
視聴者様でもこちらのVYMをホールドしている方は多いのではないでしょうか?
高配当株ETFと言えば、ほかにもSPYD、HDVなど有名どころはありますが、今回は高配当株を特集した動画ではありませんので、日本で最も人気のVYMを使って、高配当株ETFをブレンドした出口戦略を考えていきたいと思います。
VYMの基本
VYMですが、運用会社はバンガード社で、設立日は2006年12月、コストはスーパー格安の0.06%です。
このVYMは世界的にも人気で総資産額は514億ドル、日本円にして7兆円超えです。
これだけの総資産額があれば、私たちが生きている間、償還されるリスクはゼロと言っていいでしょうね。
分配利回りは平均で3%ほど、増配率、株価成長率も7%前後もあるので、追加投資をやめたとしても、配当金が増え、株価そのものの価格も上がっていくことが期待できます。
そして高配当株では注目される、連続増配年数も13年と実績があります。
銘柄数は約400ですので、分散もしっかりと効いています。
配当月は3月、6月、9月、12月の年4回です。
VYMのセクター割合を見ていきましょう。
不動産以外のセクターに投資できていることが確認できますね。
最もウェイトが高いのが金融セクター、次いで生活必需品セクター、資本財、ヘルスケアセクターの順となっています。
ナスダック100と組み合わせていくので、ディフェンシブセクターが多めに構成されていることは相性が良さそうな気がしますね。
続いてはVYMを構成する約400社の上位10社を見ていきましょう。
2024年1月31日時点で、意外にも構成割合が最も高いのはテクノロジーセクターのブロードコムです。
次いで、金融のJPモルガン、エネルギーのエクソンモービル、ヘルスケアのジョンソンエンドジョンソン、生活必需品のP&G、一般消費財のホームデポ、ヘルスケアのメルク、同じくヘルスケアのアッヴィ、エネルギーのシェブロン、生活必需品のウォルマートです。
上位10社で全体の約25%を占めています。
こう見ると、やはりディフェンシブセクターに属する企業が多いということが分かりますね
それでは構成セクターをナスダック100と比べていきましょう。
ナスダック100は言わずもがな、テクノロジーや通信などのハイテク関連セクターが半分以上を占めます。
二つ合わせて65%も占めていますね。
一方のVYMの円グラフを見てみると、このようにダーツみたいな円グラフになっており、セクター分散がナスダック100に比べて効いていることが確認できます。
ナスダック100では1%しかない金融セクターが22%を占めていますね。
じゃあ実際にナスダック100を600万円、VYMを1200万円にした場合のセクターバランスはどうなるのか?ですが、このようになりました。
テクノロジーと通信のハイテクセクターが30%、次いで金融が15%、一般消費財、生活必需品ヘルスケア、資本財がそれぞれ10%ほどと、分析しながら思ったことは、結構いいバランスになっているんじゃないか?ということです。
攻めのハイテク、守りのディフェンシブセクターが良い感じになっています。
あとは金融セクターが多めに採用されることをどう考えるかでしょうか?
NASDAQ100とVYMの暴落耐性
金融セクターが多めに入っていますので、ここは金融セクターが震源地のリーマンショック時の暴落耐性を確認していきましょう。
出口のことを考え、分配金再投資なしの状態で比較しますが、VYMを1200万円、ナスダック100を600万円にしたときのポートフォリオが青のラインですがこのときはマイナス35.21%で、ナスダック100、100%が赤のラインがこちらはマイナス41.72%です。
二つの差は約6%ですので、そこまで大きな差ではないかなというのが第一印象です。
じゃあ、ハイテクセクターがボコボコにやられた2022年を見ていきます。
こちらも分配金再投資なしで比較しますが、ブレンドポートフォリオがマイナス11.18%、ナスダック100がマイナス32.57%と言う結果でした。
二つの違いは約20%です。
ハイテクセクターの割合が60%を占めるナスダック100はボラティリティーが高いので、こういった下落はこれからも十分あると思いますが、そんな時にはこのブレンドポートフォリオは威力を発揮しそうですね。
しかも分配金は再投資をしていない状態ですからね。
ここまでの結論ですが、総じて言えることはディフェンシブセクターの割合が増えることから防御力はある程度高めることができそうです。
しかし金融セクターが震源地の暴落が来た場合は、そこまで防御力は思ったほど高くありません。
そりゃそうですよね。
金融セクターが多めに入っているわけですし。
次は長期で見たときのキャピタルゲインの違いを見ていきましょう。
NASDAQ100とVYMのキャピタルゲインとインカムゲイン
イメージとしては、新NISAの積立投資枠をナスダック100の投資信託、成長投資枠をVYMで埋めていきます。
分配金はずっと再投資はせずに、使っていきます。
そしてリバランスもしません。
完全にほったらかしです。
すると、当然と言えば当然ですが、ナスダック100全つっぱの圧勝です。
しかし、ブレンドポートフォリオの平均年利は分配金を再投資しなくても、平均の年リターンが9.67%もあるんですよね。
これには少しびっくりしました。
やはり攻めのナスダック100を入れていることで、キャピタルゲインもSP500並みに狙える可能性を示唆しています。
しかし、二つの平均年リターンは約5%も開いています。
2007年1月から2024年2月の約17年の長期間で見ると、やはりキャピタルゲインの増加スピードがVYMをブレンドすると低下することは否めません。
つまりあなたが目標としている資産額に到達する時間が遅くなることを意味します。
しかし高配当ETFや高配当株のいいところは、配当金、分配金を得ることで今の生活を少しでも豊かにすることができます。
毎月1万円でも配当金があれば、電気代やガス代などの光熱費もまかなえるわけですしね。
そして二つ目に、暴落局面でも配当金が入ってくることで精神の安定が期待できます。
配当金が全くないと、証券会社の評価損益のマイナスが増えていくことをただただ見るだけになってしまい、投資って面白くないと思うかもしれません。
しかし配当金が定期的に入ってくれば、投資生活の楽しさを少しでも実感できるかもしれません。
そして3つめに配当金は出口戦略をシミュレーションするときには、減配や無配がない限り、ほぼ計算できる収入になります。
配当金で一番嫌なのが減配や無配ですが、VYMは13年連続で増配していますので、この点でもVYMは良いのではないかなと思います。
もう一度VYMの基本能力を見ていきますと、分配利回りは3%前後です。
そして何といっても増配率が7%前後、株価成長率は分配金の再投資をしなくても5%前後で、連続増配年数も13年です。
ここがとても優秀だなと思うわけなんです。
このVYMで成長投資1200万円を最速5年で埋めた場合、つまり毎月20万円をぶっこんでいくわけなんですが、その場合、分配金の再投資なしで、単純に年5%の運用利回りとして評価額は1360万円になるわけです。
そしてさきほどのVYMの基本能力でシミュレーションしたインカムゲインの出来上がりはこうなります。
こちらは外国税10%が天引きされたあとの分配金予想ですが、5年目には年間385933円、毎月32161円になっています。
じゃあ、積立投資枠に毎月10万円を5年間投資すると期待評価額はいくらになるのか?
こちらはさきほどのナスダック100の平均年利である14.47%を使って、単純シミュレーションをしてみると、おおよそ870万円になります。
出口時にはこのナスダック100を毎月定率で取り崩していきます。
じゃあ、ナスダック100であれば毎月なん%であれば理論上取り崩し額を最大化できるかというと、毎月0.9%です。
こちらはナスダック100の出口戦略の動画で紹介していますので、興味がある方は、ぜひご覧になってください。
NASDAQ100とVYMのシミュレーション
ということで、ナスダック100とVYMを使った「シン出口戦略」を使って、シミュレーションしていきたいと思います。
この出口戦略の作戦を解説していきます。
まずナスダック100はナスダック100に連動する投資信託を毎月0.9%ずつ取り崩していきます。
今回は積み立て投資枠で購入できる大和アセットマネジメントさんのiFREENEXTナスダック100を使うという前提を置きます。
5年間で元本を600万円ぶち込んだ時の期待値が873万円でしたので、初期投資額を873万円とします。
平均年利は14.47%、標準偏差は18.92%、取り崩し率は毎月0.9%、運用コストは年0.495%、税金はNISA枠なので0%です。
一方のVYMですが、こちらも5年間で元本を1200万円ぶっこんだときの期待値が1360万円でしたので、この数字を初期投資額とします。
平均年利は4.79%、標準偏差は15.02%、分配金利回りは年間3%、増配率は7%、そしてVYMは一切取り崩しません。
お金を生み出すニワトリです。
分配金にかかる税金は外国税のみの10%。
運用コストは年間0.06%です。
今回のシミュレーションでは為替は考慮していませんので、その点だけご留意ください。
この条件で1年目から30年目までのナスダック100の評価額、VYMの評価額、毎月の手取り金をシミュレーションします。
シミュレーション方法は各年における投資の収益率をランダムに生成し、30年間のシミュレーションであれば30回の「試行」を行い、これを1セットとします。
このセットを1000回ぶん回して、全体の平均値を導き出します。これにより、かなり現実的な結果になります。
結果がこちらです。
青のラインがナスダック100の評価額、赤のラインがVYMの評価額の推移、縦棒が毎月の手取り金です。
このようにナスダック100は毎月0.9%の定率取り崩しを行ったとしても評価額は増えていく計算です。
そしてお金を生み出すニワトリ君のVYMの評価額も同様に右肩上がりです。
そしてそれに伴い、毎月の手取り金額も増加していることがお分かり頂けるかと思います。
毎月の手取り金は、1年目で約11万、5年目で約14万、10年目で約19万、15年目で約27万、20年目で約41万、25年目で約65万、30年目で約106万円です。
30年目のナスダック100の評価額予測は2360万円、VYMは5530万円です。
これ、シミュレーションをして思ったんですが、けっこうイケてるんじゃないんですかね?
出口が近い50代の方にも参考になるのではないかなと思います。
例えば、50歳で早期退職したとして年金を受け取る65歳までは、収入を落としてでも自分の好きな仕事、やりたかった仕事をしながら15年は健康維持のためにも働き、10万から20万は労働収入を得る。
そうであればまず生活に困ることはなさそうですよね。
そうこうしているうちに15年後には手取り額は27万円にもなっています。
もう年金が減額されようとも怖くありませんよね。
年金プラスVYMの配当金で十分であればナスダック100の取り崩しは中止しても良いわけですし。
途中でボケたとしても取り崩しは簡単です。
なんせ運用しているのがナスダック100とVYMの二つだけというのもシンプルですし、投資信託は証券会社の定率売却を設定しておくだけでいいですし、VYMの分配金は勝手に口座に入金されますし。
例え死んだとしても、このニワトリ君を相続人に相続すれば良いだけですしね。
相続に関しては相続税がとられますが、ここではいったん無視します。
1年目から30年目までのより詳細な数値を載せておきます。
どうでしょうか?ナスダック100とVYMを使った出口戦略。けっこういけてませんかね?